羽織紐屋を目指す

Instagramでは投稿しましたが、ビーズステッチの羽織紐を製作することにしました。

CHROMA×615は、
つまみ細工の羽織の乳飾りと
ビーズステッチの羽織紐で、

【 羽織紐屋 】を目指します。


 ずっと、つまみ細工の使い道に悩みつつ製作していました。使い道とは?例えば髪飾り。私は自分の髪につまみ細工の髪飾りを飾りたいと思うことがありません。(おまけに私はショートボブですので簪が使えません。)自分のアクセサリーの好みを考えみても、布ではなく金属や宝石など固い物。それから、これは私のデザイン力の無さゆえかも知れませんが、大人の髪に似合うつまみ細工、特に“普段”着物に合うものがあると思えなかったし、無いなら作りたいと思うには、最初に戻って「髪に飾りたい」という思いが必要です。つまり、私の脳内では「つまみ細工の需要って成人式と七五三以外に何かある?」という状況だったのです。つまみ細工作家のくせにつまみ細工不信です。


 それから、漠然と統一感の無さを感じるようになっていました。店に並ぶ作品は作者が私であること、つまみ細工であること、という共通点はあるものの、物は時計、リース、アクセサリー、和小物とバラバラで、常にショップカテゴリー迷子。製作も管理も煩雑になる。出店に関しても、いざ出店して頑張ろう!と思っても、どれも数が中途半端で、出店先に何を持っていくか決められない。そして客側からしてみれば、安く無いのに比較検討ができない。気に入った!これしかない!という夢のような場面にならないと売れない状況です。


 すると、いくつか大事な話を見聞きする機会が増えました。

 あるイラストレーターさんから「在庫はあった方がいい」という話を聞きます。出店先によって用意するものの中心を葉書にするか?キャンバスにするか?その上で数があればすぐ出られると。自分の思考の方向性の先にいる人でしたし、在庫=売れ残りというネガティブなイメージを覆すことができました。さらに「作品に統一感がない」ということを言われたが、自分は作りたいものを作っていると。しかし私の目で見た彼女の作品には、ちゃんと「彼女の絵」という統一感がありました。私の統一感の無さとの違いを考えされられます。

 同じ日、経営戦略などに長けている友人から、ターゲットは決めるべきという話も聞きます。それは誰が買うの?という私が一番苦手な質問でしたが、次第にこれこそ統一感の無さ、やはりつまみ細工という括りが大きすぎる、つまみ細工の“何か”まで絞り込まなければいけないと思います。


 つまみ細工不信と統一感の無さという状況で、作品の中で気に入っているのは羽織の乳(ち)飾り、ビーズ編みの帯締めであることと、羽織紐蒐集をしていたことが日を追うごとに混ざっていきます。使うことよりも、ただ珍しい色や形を見つけ次第に蒐集している羽織紐。使いもしないのに持っているし、作り方と配色の本も買っているし、織り機まであるビーズ。帯締め製作は長い時間がかかるけど、羽織紐なら比較的短い時間で済む。

 それからしばらくはビーズの羽織紐の試作を繰り返し、11月末に、ようやくペヨーテステッチがベストであること、配色は襲色目のような見立てから入ってみよう、という結論になりました。


 現在はこの結論に沿って、まずは量産。夕景から色をとってきたものの他に、猫の毛色や目の色を組み合わせられるセットを製作中です。


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